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執筆者の写真福永 馨

糖尿病とともに生きる~糖尿病とスティグマについて~

更新日:2023年7月9日

“糖尿病”は本邦で明治時代から使われている歴史ある病名ですが、この病名を負担に感じている人が多いという報告があります。予備軍を含めると2000万人、成人の4人に1人が糖尿病という時代にもかかわらず、皆様の中にも糖尿病と診断された後に家族や社会から非難、中傷を受けた経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。 最近“負の烙印”という意味を持つ“スティグマ”という言葉を用いて、糖尿病における悪いイメージで患者が不利益を被ることがないように擁護する運動が海外で興り、本邦でも糖尿病におけるスティグマを減らす運動が始まっています。 それでは糖尿病におけるスティグマとは何でしょうか。それは糖尿病になると失明や透析、脳梗塞になるなどと決めつけられることであったり、不摂生、だらしない、運動嫌い、自己管理ができていないとされたりすることで社会的に様々な不利益を被ることなどがあげられます。 一つ具体例をあげますと、治療にインスリンが必要な方の場合です。最近では治療の初期にも使うことがありますが、インスリンを使うとすごく重い糖尿病という印象を持たれると考え、社会からの差別や偏見が気になり、単に注射が嫌なだけではなく世間体から注射をしないという方もおられます。しかし注射をしないことでますます糖尿病は重症化し合併症が進むとなると、それは非常に残念なことです。糖尿病であること自体を隠して治療を受けない、あるいは中断される方もおられます。こうしたことが起こらないように、糖尿病であることを隠さずにいられる社会を作っていくことが大切です。 幸いなことに近年糖尿病治療は飛躍的に進歩し、血糖値を上手く維持できれば糖尿病の無い方と変わらない生活を送ることが可能になってきました。しかし、患者様に起こる様々な心理負担に対処するためには、検査や薬剤だけではなくもっと多面的なアプローチが必要となります。当院でもスタッフ一同と協力して、患者様の支えとなってより上手く糖尿病と付き合っていただけるようにしていきたいと考えています。 お困りのこと、お悩みのことがありましたらどうぞご遠慮なく我々スタッフにご相談ください。皆でスティグマの無い世界と健康長寿を目指しましょう。 竹中内科  福永 馨

*本文はもともと前勤務先の一つである甲南加古川病院のホームページ用記事として作成しました。2020年に書いた記事ですが今でもこの拙文が”糖尿病 スティグマ”や”糖尿病 stigma"でグーグル検索すると1番上か2番目に表示されており(2023年5月現在)、当院でもご紹介させていただくことにいたしました。元リンクは下記をクリックください。




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